サンルーフが3つついている。電動で開き、メッシュのシェードがついているが、案外暑くない。

リフトを上げると、こんな感じの視線だ。そのままだと乗車時に頭もヘッドレストもあたってしまうので、F3のリクライニングシートをひたすら倒す。F3購入時には電動リクライニングがあったほうがいいかなくらいの感覚しかなかったが、もし装備から外していたらリアゲートの突破ができなかったかもしれない。なんか、変な汗が出てくるな。


車内はこんな感じ。後席は3つ外して構造変更をした。床にあるのは車いすのドッキングシステム。運転席の後ろには手すりを取りつけた。後席シートの後ろにある箱にはリアゲートを開閉するための空圧システムが入っている。

 
このあとF3をコントロールして、がっちゃんとドッキングシステムに合体させる。F3の底面につけたシャフトは溶接すればいいくらいのものと思っていたが、メーカーからのマニュアルでかなりばらばらになるまでF3を分解し、それで組み込んでくれたようだ。簡単に考えていてすみません。


車いすのドッキングシステム。これもすでに傷だらけで心が痛む。乗り降りする際にF3のフットレストを上げたり下げたりをする必要があるが、うっかり下げたままやるとこうなってしまう。

 
普通は車側の床にドリルで開孔し、ボルトで直付けするものだと思うが、このようにシートレールに取りつけてあり、感心する。
 
ところで、こういう類のドッキングシステムは数年前であればオプションとして普通にラインナップされていたのだが、それが消えている。ではと思い、eBayなどを探すとなぜか購入不可となっている。これが結構まいった。情報すらない。はたして本当に車検が通るのか心配していた。
 
工場であちこち探してもらった結果、どうやらヨーロッパで輸出禁止ということになったようだ。アメリカにも同じような商品があり、そちらは日本からも買うことができる。日本でこのシステム自体が使用禁止ということだったら本当に困ってしまう。なにしろ自分一人で車いすを車体に固定するなんてできない相談。無事に新品のシステムがつき、車検もしっかり通った。検討されている人は安心してください。


これは改造前の写真だが運転席まわり。ウォークスルーしやすいようにセンターコンソール下の入れ物は外した。運転席まで移動するのは少々難儀をする。でも何とかやれる。よくやってるわ、と思う。書き忘れたがここまでのどこかでリモコンを使い、リアゲートは閉める。

 

左アクセル仕様のペダルまわり。一番右の大きいものは自作のフットレスト。さあて、出発しますよ。

妻が夕食を食べながら「どこへでも自分で行ける自由と、乗り降りの大変さと、どっち?(どっちの方が大きい?)」と言う。

F3から立ち上がり、ウォークスルーを使って運転席までたどり着くのがやはり難関なのだ。車から降りる時も逆にはなるが同じ。少し考えて「両方だね」と僕は言う。「確かに自由は手に入ったけど、べつにそれで大変さが消えるわけじゃなくそのまま残ってる。だから両方ともだよ」

期待されたあざやかな答えにはなっていないと思う。

でもこれでカー・フェリーが通っているところなら、日本全国どこへでも人の手を煩わせず自分で行くことができるわけだ。お礼を言う必要もなければ、特殊な手配をすることもなければ、迷惑をかけているのではないかと心配する必要もない。普通の人が誰でもできることが、これでやっと普通にできるわけだ。

最初に最寄りの高速SAに一人で行き、蕎麦を食べてみやげものを見、コーヒーを買ってF3をリクライニングモードにして空や景色を眺め、手洗いを済ませ、またVクラスに一人で乗って帰った。SAの食事なんてそこまで美味しいわけではないけど、好きなものを食べるのが夢だった。

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