至高の運転方法。前輪駆動のトリセツ。

困っている人も多いと思うのでこれを書く。タイトルは「コツ」としているけど、前輪駆動車の運転方法といったほうが近い。
特に後輪駆動からの乗り換えということだと、もうなにがなにやら、車いすがどこ行くかわからないという状態ではないだろうか。検索をしても「そのうち慣れる」としか書いておらず、まあまあ途方に暮れる。

僕の場合もうペルモビールに後輪駆動のラインナップがないんだからといって試乗自体をしなかった(面倒で)。性能の良さはわかっているし、とにかくデザインはいいし。これがもし慎重な方でデモ機の貸し出しをしようものなら、いきなり乗れないなという印象で購入を見送ることにすらなるかもしれない。これは福祉機器展などの広いスペースで試乗をしても気がつかないのだが、狭い実際の生活エリアで乗ってみると挙動がおかしくて運転できない、という状態になるからだ。

さて、運転の押さえるポイントは二つある。
ひとつは「上から見て車体の旋回軸がどこにあるか」を把握すること。
もうひとつは「壁などに車いすを寄せて、そこから離れる時は必ずバックを使う」である。

あまり面白くない話で恐縮だけど、現在デモ機なりに乗って困り果てている人にとっては相当有益な記事になると思う。

上から見て車体の旋回軸がどこにあるか

後輪駆動の場合、もちろんそれは後輪の中心あたりにある。感覚的には後ろの方にあるね、という感じだ。曲がる時は前輪(というよりも自分の足)をカーブの奥まで突っ込ませてから、曲がる。イメージ的には長いトレーラーの左折のような状態。突っ込んで曲がらないと、内輪差で後輪が引っかかってしまう。


そして前輪駆動。上記写真の赤で示した場所が旋回場所である。軸が左右のどこ(中央なのか写真のように片方へ寄っているのか)になるかというのはスティック操作による。それで乗車位置からの視線でいうと、僕の場合は旋回軸はだいたい自分の太ももの付け根あたり。

後輪駆動と違って、曲がるポイントが太ももの位置くらいにきたら様子を見ながら曲げていく。思っているよりもかなり早い位置である。もし後輪駆動のように突っ込んでいって曲がると、今度は後輪が逆方向に張り出して何かにぶつかりそうになり行動不能に陥る。まずこれでパニック。

まずは視線から自分の回転する軸がどこに位置しているか、わかりやすい場所でいいので把握する。

壁などに車いすを寄せて、そこから離れる時は必ずバックを使う

次のパニック、というより、軽い絶望すら味わうのは、例えばスーパーマーケットの平台に車いすを寄せた時だ。
平台だと奥の物が取りづらいから当然車いすはぎりぎりに寄せる。これは前輪駆動でも簡単だ。問題は離れる際に起こる。

後輪駆動ではあまりむずかしいことはない。左の平台につけているのならジョイスティックは右に切り、前に進めばいい。人の感覚的に非常にノーマル。

ところが前輪駆動でこれをやると、まず後輪が平台にぶつかり、そのまま動けなくなる。ちょっと無理をすれば離れるか強引に試そうとすれば、そのまま後輪が平台に食い込んで行って破壊しそうである。それに全く離れて行こうとする気配がない。

もちろん実際には平台にぶつけたりはしない。でもそこから脱出ができなくなり、いったいこれはどうすればコントロールができるんだ、と何度も思った。後輪駆動でそんなこと思ったことがない。

話として「後輪駆動と前輪駆動は逆だ、いってみれば車をバックで運転する感覚です」というのは聞いたのだが今ひとつ具体的なやり方がわからない。じゃあこの事態はどうすればいいのだ?

簡単なのでこれだけ覚えてください。
左の平台についているなら、ジョイスティックを少し「左」に倒し、少しずつバックをする。
これでもう車いすは平台から離れているはずだ。簡単すぎてあっけにとられる。もちろん後ろの安全確認は怠ってはいけない。左から離れるのにジョイスティックを左に傾けるなんて普通ちょっとできないが、これが前輪駆動車の正式なんである。

この重要な2ファクターさえクリアできれば、確かにあとは慣れだ。前輪駆動を嫌厭してこのすばらしいF3を選ばないのは損である。

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