自分で乗って、行って、降りる。車載・その2

もう11月になってしまうが、夏の初めに次期車載車を購入した。しばらく車はいいやと思っていたのだけど、ベンツのVクラスでひとつ前のモデル、後期型の程度のよさそうなものがあった(あくまでよさそう、ということだけど)。内装が華やかだったのも理由のひとつ。

テーマは一つに絞る。全て自分でできること。

自分一人で乗り込んで、自分で運転し、自分で車から降りる。もちろん車いすを使うので、自分で車いすを積んで降ろすということも、当然加わる。

夏に買ってなぜこれほど時間がかかっているかというと、それが難題だらけなのだ。だけど、もしこの仕様が実現するとなると、僕は人生55年で初めてほぼ自由を手に入れることになる。自分で好きな時に好きな場所へ行って好きなことをし、また好きな時に帰ってくることができる。そんなこと、今までもやってきたつもりでいたが、実はそうではなかった。

数年前の夏に、シトロエンに比較的軽い電動車いすを積み、友人と二人で淡路島へ行った。ホテルの駐車場に車を停め、さて車いすを降ろそうということになって友人がそれをやりながら「お前、いつもこんなこと女にやらせてんのかよ」と何気なしに言った。胸が痛む。それを言ってくれる友人もいいが、まあ経緯はあるにしてもその通りである。

制約なし。気遣いなし。
それが手に入るのだから少々の苦労は仕方ない。介護者がいない前提の電動車いす運用車は、まだほんのちょっと時代が早いわけだ。


さて、まず車種選定。これはアメリカ車の大きいバンか、ベンツのVクラスのどちらかしかない。日本車のワンボックスではなぜだめかというと、こういう第一候補に上がるだろうトヨタのハイエースは経験的に乗り心地があまり良くないから。運転していてものすごく肩が凝る。それは今では改善されているかもしれないけど、前輪の上にエンジンとシートが載っかっているという構造自体が変わっていないので、広いのはわかっているのだが除外。

ホンダのフリードはいいのだけれど、まず車載スロープの耐荷重が200キロまでなので、その時点で候補から消えてしまう。ペルモビール・F3は僕も含めて250キロあるから、国産のスロープ式福祉車両はたぶん全てアウトのはず。それにエンジンは3リッターないと片道400キロの出張がちょっとしんどい。

とすると先ほど書いたアメリカ車かVクラスのみ。

アメ車もいいんだけれど、取扱店が多くないのと参考になるケースがない、というよりも実車が少ない。対してVクラスは福祉車両というか、電動リフトとの相性がいいらしく、時々改造車を見かける。最初はすでに福祉車両となっているものを探したが、もうこうなったら自分で改造すればいいんじゃない? ということになった。

工場に相談した架装メニューはこう。

・車いすを載せるための電動リフト(リアハッチにつける)
・リアハッチを自動で開閉できること
・車いすを自分で固定できること
・そこから降りて自分で車内から運転席へ行けること
・また、逆も一人でできること
・左アクセルとハンドル・ノブの設置
・運転席の電動ステップ(運転席から乗り降りするときのステップ)

書いていて、今の時点でも頭が痛い。車いすで車のところに行って、ハッチを自分で開けて乗り込み、今度は中から自分でハッチを閉める。これはもうできるよねというところまで行った。

まだ仕様の考察と段取りをやっているところで、改造は始まっていない。

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